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最後の便り

 べレンを発った。

 ブラジリアに向かい一泊。ブラジリアは空の広い街だ。数十年前に砂漠の中にポンと首都を遷都したわけだから、思い切ったことをする。樹木の様子がべレンとはちがう、空の色がちがう(べレンは雨と晴れしかない。私のいたブラジリアの1日は曇りだった)。
 それから、サンパウロの友人の家に一泊。着いてすぐ、彼らの話し方が小鳥のさえずりのように聞こえた。パラの話し方と明らかにちがう。いろんなものを見て、体験して、ブログにも書いてきたが、それはパラ州のあり方だったと思う。サンパウロでは「時は金なり」で、時間にきっちり、みんな夜遅くまで働き、より日本ちかい感じであるという。

 日本の23倍の国土だから、まるでちがう文化がいくつもあるのが当然だ。「ブラジルは・・・」はととてもひとくくりにできないなぁと思う。また、私はブラジルの闇の部分をあまり見ていない。きっとこの国は闇の部分も黒々奥深いところなのだろう。

 アマゾンの食卓で書き残したのは、「タカカ」「バタパ」「カルル」といった、道端の露天でよく売っていたパラの伝統料理、「ファリーニャ」「ツゥクピー」といった食卓にいつも登場していろんなものにかけて量や味わいを増してくれるもの(日本に持ち帰ろうと荷物に入れたが、トランクのふたが閉まらず泣く泣く置いていった)、カイピリーニャという抜群においしいがアルコール度数の非常に高い危険な酒に新鮮な果物ジュース...こう書いていると、もう飲み食いできなくなるかと思うと本当になごり惜しい...。

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 ブログをのぞいてくれた皆さん、ありがとうございました。筆が重い私は、他の人が読むというプレッシャーがなければ、続けられなかったと思います。書くことで、日々の生活を丁寧にみることができました。
 
 これにて「ブラジル便り」は終了です。
# by pengy-pengy | 2006-10-27 01:40

サンバ学校

 帰国の日が間近になった。週末はアパート引き払いのための荷物整理に追われた。

 夜になると、外から賑やかな歌声と太鼓が響きだす。毎週末、夜になると繰り広げられたサンバ学校の練習。私の部屋から見る下ろせる会場は体育館のようなかんじで、最初はコンサートを行っているのかと思っていたが、プロにしては歌はかなり下手である。
 ある時それがサンバ学校だということがわかった。いい感じだったら入れてもらおうかと見に行ったら、あんなに大音響をあたり一帯に響かせているのに、バンドメンバー4名と家族らしき人が数名見ているぐらい。拍子抜けだった。カーニバル近くになるとだいぶ人が増えるらしい。

 それにしても、ブラジル人は音に関して寛容だ。夜中に大音響はサンバ学校だけのことではない(私の隣人も品のよい女性だが、壁を震わせガンガンやる)。眠れなくて困っている人もかなりの数いるようで、ベレンのカーニバルをやめてしまえ!という声もあるという。

 でも、村のフェスタに行ったり、ダンスのフェスタに行ったりしているうちにわかってきた。ここの音楽は「腹」で聞くのだと。腹にズシンズシンと響くのと、そうでないのでは音楽の与えてくれるものが別のものだ。踊るにはズシンとこないとはじまらない。

 サンバ学校の調子ぱずれの歌声も、今はとてもいい思い出だ。
# by pengy-pengy | 2006-10-23 13:31

タバコ

 タバコの箱のラベルがすごい。歯茎から血がでていたり、肺がまっくろだったり、足が切断されていたり...メーカーを問わず、とのタバコも裏面は恐ろしい内容だ。

 タバコを吸っている人をあまりみない。かなり強力な禁煙キャンペーンが行われていると聞いた。このラベルの効果は思った以上に高そうだ。

                 <写真は、各種タバコの裏のラベル>
タバコ_c0089474_123343.jpgタバコ_c0089474_12333943.jpg
# by pengy-pengy | 2006-10-22 12:34

アマゾンの食卓 その4/日本食

 ベレンは日系人が多い。だから日本食には困らない。

 私のアパートの前にある大型スーパーでは、味噌、梅干、醤油、豆腐は普通に手に入る。食事がとれるコーナーでは、ブラジル人の寿司職人が寿司を握っている。外国人は生魚を嫌がるというが、ブラジル人もいっぱい注文して繁盛。サーモンはうまい。マグロはまずい。得体の知れない具の巻物もある。

 日系人が経営する食堂も多い。「IZUMO」の肉たたき定食などはニンニクがビシリときいてとてもおいしい。天麩羅は日本だったら2本ぐらいついていないエビが山盛りくる。これをがんばって食べてしまうと、もう一年ぐらい天麩羅はいらないという気分になる。

 店で出されるラーメンはインスタントラーメン。のびきっているが、なつかしいかんじ。アマゾン河の茶色の水でラーメンをつくってくれた人もいるが、その後腹の具合がいまひとつだった仲間もいる。

 そして、ブラジル人にも大人気で、ベレンの食の中での確固とした位置づけを確立しているのが「ヤキソバ」。味は日本のヤキソバに全くひけをとらないし、圧倒的な量を誇る。

  <写真は、アマゾン特製ラーメンしこみ中&「OK yakisoba」のYakisoba普通盛り>アマゾンの食卓 その4/日本食_c0089474_18485691.jpg
アマゾンの食卓 その4/日本食_c0089474_18523184.jpg
# by pengy-pengy | 2006-10-20 18:57

仕事の仲間

 アマゾン群馬の森(日系移民でつくられた群馬県人会と日本の群馬県民が募金などをして購入した540haの熱帯雨林)のフィールドガイドをつくっている。そのイラストを描いているのが、ここの施設で以前トレール整備など下働きをしていたプレットだ。

 トレールにあった彼の自作の立て看板が素朴なセンスがあって感じがよかったのでイラスト担当に抜擢。群馬の森で書いたという詩もなかなか素敵で、パンフの表紙に入れることにした。2ヶ月間、毎週宿題を出しては、それをチェック、また次の宿題...を繰り返し、全部で7種類のパンフレットが完成間近だ。プレットは24色の色鉛筆セットを新しく購入しはりきった。私は毎週届く彼のイラストをとても楽しみにしていた。

 彼は、フリーランスというのか、失業しているというのか、その時々にくる仕事と失業保険で生活しているらしい(ブラジルの社会保障は予想外に手厚いもので、年金やら保険やらが整っている)。30代で高校に通い、子どももいる。才能はあるのにこのままでいいのか...と若干心配しているが、来年にはある島で芸術と環境をテーマに小さな学校を開くというプロジェクト計画があるようだ。そして将来は地域の政治家になるという話していたという。

 パラ州は失業者だらけだが、なぜか悲壮感はなく、ごく自然体で失業している。時々入る日雇いの仕事や社会保障で、それぞれなりに生活に満足したり、夢をもったりしている印象。労働者が目を離すとすぐさぼる...とぼやく日系の農場主も、「でも彼らはいいよ。少しお金をもらって、それで満足して幸せそうだ」と話す。プレッシャーの中で日々猛然と働き、リストラされて追い詰められてしまう人が続出する日本の今ととても対照的だ。

 私の帰国がせまり、イラストもほぼ完成したので、「あなたのおかげで素敵なパンフレットになった」と、お礼を述べた。彼も嬉しそうに「締め切りに間に合わすということを考えながら仕事をすることを新しく学んだ」という非常に日伯共同の活動らしいコメントをくれた。

               <写真は、プレットと遊歩道のパンフレット>
仕事の仲間_c0089474_2014230.jpg仕事の仲間_c0089474_20143612.jpg
# by pengy-pengy | 2006-10-19 18:33